BY FRED COSTELLO & DENNIS J. DE WITT
パイプのベンディングとはストレートなパイプ(丸、角、など)を指定された曲げRと指定された角度に成形する加工である。
冷間でのパイプベンディング技術には、ブレス・ベンディング、ロール・ベンディング、ロータリー・コンプレッション・ベンディ
ング、ロータリー・ドローベンディングなどがあるが、本稿ではロータリー・ドローベンディング(回転式引き曲げ)を取り上げる。
■ベンディングの金属工学(エロンゲーション)

パイプがベンディング加工時に示す特性を理解するために金属工学の用語の
定義から始めなければならない。金属には全て、各々に一定の歪量で、恒久
的な変形が発生する。 このポイントは降伏点と呼ばれ、その時の荷重を
kg/mm2であらわす。金属は曲げ後、除荷された時、スプリングバックして元
の形に復元する場合は、この降伏点まで加圧されていない。
金属が引っ張られたり、押しつぶされたりした場合にも恒久的に変形するた
めには降伏点まで加圧される必要がある。最大荷重は、降伏点を超えた荷重
である。この点が実際に金属が破壊され、引きちぎられ始めるポイントである。
ベンディングは、この降伏点と最大荷重の間で行われなければならない。
金属は恒久的な変形が行われなければならないが、破壊されたり、引きちぎ
られてはならない。 金属が降伏点を越えて加圧されると、塑性変形が見ら
れる。 どのくらいの量、流動か起こり、変形や曲げが起こりうるかは、
それぞれの金属又は合金の特性による。 破壊が起こる前に、どのくらいの
塑性変形が起こるかはエロンゲーションと呼ばれ、パーセントで示される。
比較的高いエロンゲーションの比率を持っ金属は、極めて厳しい曲げRにも
耐えることが出来る。 エロンゲーションが低い金属は曲げることが難しく、
大きな荷重を掛けると破壊される。 最もエロンゲーションの大きい金属は
金で、逆にエロンゲーションが小さいのが鋳鉄、荷重を掛けると延びや変形
が生ずる前に破壊される。 いかなる材質の場合でもその材質が持つエロン
ゲーションを一杯に使ってベンディングするのは得策ではない。
成形された製品に追加の荷重がかかると、その荷重を吸収するエロンゲーシ
ョンが残っていない為、破壊されることになる。
■ペンディングの幾何学

パイプが曲げられる時、曲線の
内側の材料は圧縮され、外側の
材料は引っ張られる(図1参照)。
圧縮されるパイプのカーブの
内側の肉は厚くなり、引っ張ら
れる外側の肉は薄くなる。
(図1,セクションA-A)
センターライン付近の金属は
比較的変化せず、センターラ
インとの2点間の距離も、ほぼ
変わらない。
第1図パイブが曲げられるとき、
内周は圧縮されて厚くなり、
外周は引っ張られて肉痩せする。
センターラインに沿った2点間の距離とカーブ
の外周の2点、間の距離の比率がその曲げに必
要な材料のエロンゲーションとなる。

しかし、これを必要な材料の延びに単純に置き
換える事はできない。
通常、曲げが始まる地点では延びは少なく、
曲げが進行すると若干大きな延びが必要となる。
ある条件下では、曲げ始めでは、センターライ
ンと外周の比率から予測されるカより30%大きな
引張りカが必要なこともある。 その他に、
タンジェントポイント(曲がりの接線)を越え、
材料が引き込まれ、外周部の肉が薄くなる、
ボロウイング(拝借)と呼ばれる現象も発生する。
その場合は接線周辺部の肉がその分薄くなる。
第2図は曲げRが大きい場合と、小さい場合の、
センターライン、外周、内周の延ひ及び縮みの
比率を示している。 小さい曲げRのベンディ
ングは、割れ、潰れが発生しやすく、難しい曲
げとなる。
小径曲げでは、各種の追加ツール(マンドレル、
ワイパーダイ、その他)を使い、大径曲げより
用心深いセットアップと機械のコントロールが
要求される。
第3図にパイブ曲げにおける引っ張り力と圧縮力
の分布状態を示す。外周には引っ張り力が働き、
内周には圧縮力が働く。引っ張り力と圧縮力は、
センターラインから離れるほど大きくなる。
理論上の線でパイプの引っ張り力が働く側と
圧縮力が働く側に分ける事ができる。
その線はニユートラルラインで引っ張り力も圧縮
力も掛からない。又、その線は曲げ加工前のパイ
ブの長さになる。
このニュ一トラルラインは、幾何学上の
センターラインより内周側に寄っている。
その理由は、材料は引っ張り力より圧縮力に対す
る抵抗が大きいからである。従って一般的には
外周の延びは内周の縮みより大きくなる。
実際には、ニュートラルラインの内周側へ移動す
る大きさは、重量バイプの大きな曲げRの場合
5%程度、軽量パイプの小さい曲げRの場合ならば
25%程度と、異なる。
曲げRの大きさは、パイブ径の何倍のRかで表示
する何倍Rが用いられる。パイプ径と同じ曲げ
Rで曲げられる場合は“1×D”、
パイプ径の2倍の曲げRでの曲げは
“2×D”と表される。
経験的な方程式によると、ニュートラルラインがセンターラインから内周側に移動するパ
ーセントと関連する関数の関係式は下記の通りである。
例えば、バイプ伴(OD)が2インチ(50.8mm)、曲げRがセンターラーイン(CLR)で4インチ(103、2o)の場合、
OSRは5インチ(127mm)即ち4インチプラスパイプ径×1/2で上記の関係式は:

上記の例では、外周はセンターラインより20%長くなる。従って、このパイブ曲げを成功させる
には、エロンゲーション率が20%以上の材料を使用することが条件となる。
■パイプの肉の痩せ
パイブのエロンゲーション(伸び率)と肉痩せの方程式
は経験的なものである。ここではニュートラルラインの
幾何学的センターラインからずれる事や、ツールによ
る引き傷、その他の引っ張り力に影響を与える現象は
考慮に入れていない。パイプの肉痩せはプレッシャー
ダイ又はブースターの影響を受ける。
この公式は実際の曲げ寸法と密援に適合し、殆どの場合、
肉痩せの数値はその部分の材料の延びから予測できる。
曲げられたパイプ外周の肉痩せには関心が持たれない
ことが多い。パイプ曲げによる肉痩せは必ずしも強度
低下にはならない。 実質的な限度内での冷間成形は
成形前のパイブと同等又は、それ以上の高い強度を示す。
高圧による破壌試験では常に曲げられた部分より先に
直線部分のパイブが破壊する。
溶接パイプのベンディングの場合は、溶接部を上又は
下にして、即ちニュートラルラインの面が溶接部にな
るようにして溶接時のストレス(歪み)を減少させる形
で曲げ加工を行う。
■スプリングバックと曲げRの変化

第4図はニュートラルラインの両サイドの細い帯状のバンドを示し、この部分は降伏点まで荷重がかからないため
元のストレートな形状に戻る。 この部分の金属は勿論降伏点を越えて加圧されて恒久的に引っ張り又は圧縮
されている内周及び外側の継ぎ目となっている。この細いバンド帯は、ニュートラルラインに沿って真直ぐになろ
うとする力が働いているが、恒久的に曲げられた部位よる曲げ荷重を受けている。 残留応力はクランプが外され
ると成形ダイから離れて若千のスプリングバックとして現れる。このスブリングバックの量は材料の降伏点と曲げ
Rとに関連している。実用面では、スブリングバックが避けられないことから、このスブリングバック分を補填す
るように機械側で日標とする曲げ角度よりオーバーベンドするようセットしなければならない。
成形が終わったパイプのスブリングバックは、曲げ角度のみならずベンドダイの形状からもスプリングバックする。
曲げられたパイプのセンターラインRは、ベンドダイ(フォーマー、シェーパーなどと呼ぱれる)より大きくなる。
この現象は、曲げRの増大(ラジアスグロウ)と呼ばれる。この曲げRの増大は、材料の降伏点と曲げRの大きさで
決まる。降伏点の高い材料で曲げRの大きい曲げ加工の場合はスブリングバヅクが大きく、この曲げRの増大量も
大きくなる。
■曲げの工程
第5図はロータリードローベディングで使用される基本的なツールである。
操作の手順は:
1.パイブをベンドダイ(フォーマー)のグリップエリア(クランプ)まで差し込む。マンドレル使用の場合はパイブの中にマンドレルを挿入する。
2.バイブをペンドダイ(フオーマー)のグリッブエリアにしっかり固定するようにクランブを締めます。
3.マンドレルをベンドエリアまで押し込む。(マンドレル使用の場合〉
4.ブレッシャーダイ(又はカウンターベンドダイと呼ぱれる)をパイプに押しつけるように締める。
5.グリップエリアにパイプを保持したままベンドダイ(フォーマー)を回転させる。
第5図
この最後のステッブで、プレッシャーダイ(カウンターペンドダイ)はパイプをベンディングポイントでベンドダイの溝の巾に
押しつけているため、パイプはベンドダイに沿って引き曲げられる。この為この曲げ方を
ロータリードローベンディング 又は 回転式引き曲げという。
■楕円化傾向または扁平化(OVALITY OR FLATTENING)
第6図は曲げ加工においてパイプの外周に発生するストレスによりパイブ外周がAからBまでの弧で真円弧にならずに自然に
直線に近づく傾向を示している。この外周の扁平化の傾向(第6図の断面C-C参照)を楕円化傾向という。
この楕円化率は下記の数値で表現される:
"曲げ方向の面のパイプ径が潰れて小さくなる数値の元のパイプ径との比率"

楕円化率が大きい場合の対策は:
1.パイプの肉厚を大きくする。
2.曲げRを大きくする。
3.マンドレルを使用する。
重要な点はパイブ外径(OD)に対するパイプ
肉厚の比率である。比較的厚い肉のパイプ
は円弧を保持しようとする反力(HOOP STRENGTH)
が働き、扁平化に抵抗し、同径の薄肉パィブの
場合より扁平化が少ない。
過度の惰円化又は扁平化はパイプの反力が不十分でカーブ外周の引っ張り力に抗しきれない時に生ずる。
(第6図のA点からB点まで参照)
この外周の引っ張り力の強さは曲げRの逆関数となる。即ち、Rが小さくなるに従い扁平率は、大きくなる。
■角パィプ、長角パイプの曲げ
角パイブ及ぴ、長角パイプの曲げは、丸バイブの曲げと同様に行われるが、曲げ工程上ー部異なった過程をたどる。
丸バイプと異なり、角パイプ、長角パイブは、自律機能に乏しい。又曲げ工程中、内周から外周への円周に沿ったメタルフロー
が起こらない。 従って、角パイプと長角パイブでは、曲げRの小さい曲げは不可能である。 曲げRがきつくなると、
外周及び内周の肉が内側にへこむキャビティー現象を避けることは難しく、断面形状がクサビ型(又は梯形)となるいわゆる
“キーストン現象”が生じる。これは内周が厚くなって広がり、外周が引っ張られて狭くなるためである。
■実用面での考察
材料が持っているエロンゲーションの率によりCLRの曲げRの最小値は決定できるが、実用面には出来るだけ大きな曲げRで
設計することが経済的で有意義である。 又、通常パイプ内部の効率的な材料フローを考慮すると3×D以上の曲げRが望ましい。
曲げRが厳しくなると、それだけツーリングもコスト高となり、機械も高額となる。薄肉パイプによる小さな曲げRの加工の
場合には、使用するパイプの寸法精度と材質の均質性にも十分配慮しなければならない。又、多数曲げ部品の場合は出来るだ
け単一の曲げRを採用することを推奨する。
■参考資料

SGP=ガス管 Sch=スケジュール管 例;8Aのガス管の肉厚は2.3mm
スケジュール管;ガス管であれば内圧は一定である、しかし、他の用途の場合内圧は特定できないので内圧に合わせて肉厚を決める事になる。そのためにガス管の肉厚は1次元の表になるがスケジュール管の肉厚は2次元の表となる。
上記資料のPDFファイルのダウンロード

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TEL 042-798-7177 FAX 042-798-7188
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